嵐の中でも株価は+6%——ニデック、今いったい何が起きているのか?
嵐の中でも株価は+6%——ニデック、今いったい何が起きているのか?
スクリーンショットを見ると、5月14日午前10時20分の時点でニデック(6594)の株価は2,590円、前日比+155円(+6.37%)と大きく上昇しています。しかし、この銘柄は今まさに日本の株式市場で最も波乱に満ちたドラマが進行中の企業でもあります。
ニデックってどんな会社?
ニデック株式会社(旧・日本電産)は、京都府に本社を置く世界最大級のモーターメーカーです。創業者・永守重信氏が1973年に4人で立ち上げた会社が、今や年間売上高2兆円を超えるグローバル企業に成長しました。ハードディスク向けの精密小型モーターを主力に、EV(電気自動車)向けの駆動システム「イーアクスル」、データセンター向け冷却システムなど、幅広い製品を世界中に供給しています。
何が起きていたのか——会計不正という大嵐
実は、ニデックはここ約1年間、深刻な会計不正問題に揺れ続けてきました。
まず2025年前半、イタリア子会社「Nidec FIR International」での関税支払いをめぐる問題や、中国子会社の不適切な会計処理の疑いが相次いで発覚 しました。その後、2025年9月に第三者委員会が設置され、調査が本格化。監査法人のPwCジャパンから「意見不表明」とされたまま有価証券報告書を約3カ月遅れで提出し、10月には東京証券取引所に「特別注意銘柄」に指定、11月には日経平均の構成株からも除外 されるという異例の事態が続きました。
業績面でも深刻でした。2025年度の上期(4〜9月)決算では、売上高は前年比85億円増の1兆3,023億円と過去最高を更新した一方、営業利益は前年比994億円減のわずか211億円。車載用製品事業での引当金として877億円の損失を計上 しました。
不正の根っこには何があったのか
2026年3〜4月にかけて、第三者委員会が最終報告書を公表しました。会計不正による純利益へのマイナスの累計影響額は、2025年4〜6月期までの累計で1,607億円に上る ことが判明しました。
調査報告書によると、発見された会計不正はいずれも「業績目標、特に営業利益目標の達成に向けた強すぎるプレッシャー」を背景に行われたもの でした。具体的には、子会社が計上していた政府補助金の返還に係る引当金を連結財務諸表で不正に戻し入れた事案、本来収益計上が許されない補助金の性質を偽って計上した事案、不良債権の貸倒引当金を適切に計上しなかった事案など、多岐にわたる 不正が行われていたのです。
第三者委員会の調査報告書では、創業者の永守重信氏が業績目標を達成するよう強いプレッシャーをかけていたことも明らかに なっています。
そして今——新たな品質不正問題が浮上
さらにここ数日(5月13〜14日)、新たな問題が表面化しました。モーター部品などで品質不正の疑いが発覚し、設計変更などを含む1,000件超の事案が報告 されています。ニデックの岸田社長は「品質は根幹、重く受け止める」と述べ、調査委員会の設置を検討することを発表 しました。
また東京証券取引所からは上場契約の違約金通知も受領 しており、ガバナンス面での問題が連続して噴出している状況です。
それでも株価が上がっている理由は?
これだけの悪材料が積み重なっているのに、なぜ今日(5/14)の株価は+6%を超えているのか。
チャートを見ると、5月12日に2,906円の高値をつけた後、5月13日に2,350円まで急落し、14日には2,590円に反発しているのがわかります。品質不正報道でいったん売られたものの、4月17日の最終調査報告書発表後、市場が「調査に一定の区切りがついた」と受け止めて株価が反発した流れ の延長線上にある動きと見られます。
悪材料が出尽くしたという見方と、まだまだ不確実性が残るという見方が交錯している状態です。
まとめ——ニデックの今を一言で言うなら
「超大型企業の、超大型スキャンダルからの再建途中」です。売上高1兆円超えの実力は本物でも、長年積み上げてきた「負の遺産」の清算はまだ続いています。会計不正に続いて品質不正疑いまで出てきた今、会社の信頼をどう取り戻すかが最大の課題。株価の行方は、調査結果と経営刷新の進捗次第といえます。投資判断には引き続き慎重な姿勢が必要な局面です。
※この記事は情報提供を目的としたものです。投資は自己責任でお願いします。
コメント
コメントを投稿