4,110円タッチ、防衛装備工場「国有民営化」報道で三菱重工が止まらない。国策銘柄の本当の実力とは
4,110円タッチ、防衛装備工場「国有民営化」報道で三菱重工が止まらない。国策銘柄の本当の実力とは
三菱重工業(7011)を一休・ベッカー・ガンジーの3人が徹底解説します
一休:いよっ、二人とも。今日は三菱重工業(7011)について語りに来たで。7月7日時点で株価4,108円、ここ最近ずっと動きが激しい銘柄やな。
ベッカー:そうですね一休さん。まず数字から入りましょう。三菱重工業は6月10日に3,404円まで売られる場面がありましたが、そこから急速に切り返しています。7月6日には前週末比318円、率にして8.38%高の4,110円まで買われる場面がありました。わずか1カ月足らずで20%近く戻したことになります。
ガンジー:それはすごい戻りですね。何が起きたんですか。急に思い出したように上がるっていうのは、たいてい裏に理由がありますよね。
一休:ええとこ突くやんガンジー。理由は防衛関連のニュースや。日本経済新聞電子版が、政府が2027年にも防衛装備品の生産工場を国有化するための法案を国会へ提出する調整に入ったと報じたんや。
ベッカー:もう少し具体的に補足しますと、自衛隊で使う装備品を安定的に国内生産するための措置を含む防衛生産基盤強化法の改正を検討しているとのことです。有事の際に弾薬などを増産できるよう、国が関与して平時から生産力を維持する狙いがあります。国が施設を保有し、民間に運営を委ねる「国有民営」方式が念頭に置かれています。
ガンジー:国が工場を持ってくれるってことは、企業側からすると設備投資の負担が軽くなるってことですよね。それは株価が反応するのも分かる気がします。
一休:そういうことや。しかもこの報道の影響は三菱重工だけやない。川崎重工業、IHI、日本製鋼所に加えて、豊和工業や石川製作所、細谷火工といった中小型の関連銘柄まで幅広く買われとる。防衛セクター全体が反応した格好やな。
ベッカー:実はこの動きは今回が初めてではありません。少し時系列を遡ると、7月1日にも三菱重工は続伸し、前日比159円高の3,825円まで買われる場面がありました。この時は日本経済新聞電子版が、日本と英国、イタリアの官民が次期戦闘機の共同開発を巡る契約について報じたことがきっかけでした。
ガンジー:次期戦闘機の話も出てたんですね。防衛関連のニュースが立て続けに出てきて、そのたびに株価が反応しているという流れがよく分かります。
一休:そうやな。ニュース面はこれくらいにして、次は決算の中身も見ときたいな。ベッカー、頼むわ。
2026年3月期決算はどうだったのか
ベッカー:はい。2026年5月に発表された2026年3月期の決算は非常に強い内容でした。売上収益は4兆9,741億円で前期比14.1%増、事業利益は4,322億円で前期比21.8%増と、大幅な増収増益を達成しています。
ガンジー:売上も利益もどちらも二桁の伸び率ってことですよね。これはかなり優秀な決算じゃないですか。
一休:せやな。受注の数字も見とこか。2026年3月期の受注高は7兆6,536億円で前期比19.5%増、当期利益は3,321億円で前期比35.3%増となっとる。受注も利益も過去最高水準や。
ベッカー:セグメント別に見ると、けん引役がはっきりしています。エナジーや航空・防衛・宇宙セグメントが好調で、営業キャッシュ・フローも大幅に改善しています。防衛だけでなく、エネルギー関連も業績を支えている構図です。
ガンジー:次の期の見通しはどうなっているんですか。
一休:そこも強気や。2027年3月期は売上収益5兆4,000億円、事業利益5,400億円、税引前利益5,300億円、親会社の所有者に帰属する当期利益3,800億円を見込んどる。為替の前提は1ドル150円、1ユーロ180円としとるみたいやな。
ベッカー:増収増益を継続する見通しということですね。さらに配当についても言及があります。2027年3月期も引き続き成長を見込んでおり、増配も予定されています。
ガンジー:業績はかなり良さそうなのに、株価は6月に一時3,404円まで下がってましたよね。これって業績とは違うところで売られてたってことですか。
なぜ好決算でも株価が急落する場面があったのか
一休:ええ質問やな。実はこの銘柄、業績が良くても株価が大きく調整するクセがあるんや。まず押さえとかなあかんのは、株価がとんでもない高値まで行っとったってことや。
ベッカー:そうですね。三菱重工の株価は業績好調を背景に2026年3月10日に上場来高値の5,208円まで急騰しました。その後、短期間で買われすぎた反動から機関投資家などの利益確定売りが集中し、3,900円台へと値を下げる場面がありました。
ガンジー:上場来高値からすでに調整が入っていたんですね。それに加えて、6月の急落にはまた別の理由があったんですか。
一休:あったで。ちょっと前には中国絡みのニュースもあったんや。2026年2月24日に中国商務省が日本企業20社を輸出規制リストに追加すると発表し、三菱重工業の傘下にあたる三菱重工航空エンジンなどがその対象に含まれた。この報道で株価が急落する場面があったんや。
ベッカー:為替リスクについても触れておきたいですね。三菱重工は海外売上高比率が高く、防衛やエナジーの海外案件も多いため、為替が円高方向に振れると業績下振れリスクが意識され、重工セクター全体に売りが波及しやすくなります。
ガンジー:なるほど、業績自体は良いのに、為替や地政学ニュース一つで大きく揺れる銘柄なんですね。
一休:まさにそこや。防衛関連の国策銘柄として注目度が高い反面、国際情勢やウクライナ情勢のニュース、防衛予算に関する発言ひとつで株価が乱高下するため、短期的な急落を見て「やばい」と感じる投資家も増えとるんや。
ベッカー:バリュエーションの面でも一時期はかなり過熱していました。2月時点のPERは60倍を超えており、相当の成長期待が株価に織り込まれていた状況でした。現在は今期予想基準で31倍程度まで落ち着いていますが、プライム市場平均の18倍と比べれば依然として成長期待は高い水準です。
ガンジー:60倍から31倍ってことは、期待の過熱感はだいぶ解消されたってことですね。ここからは何が株価のカギになるんでしょうか。
今後の注目ポイントは防衛予算とAI電力需要
一休:ここからのポイントは大きく二つあると思うで。一つは防衛予算の拡大トレンド、もう一つはAI関連の電力需要や。
ベッカー:防衛予算について整理しますと、長らく対GDPで1%が実質的な上限だった防衛予算は、2026年度予算では対GDP比1.9%にまで上昇しています。金額ベースではおよそ倍増となり、当初2027年度に2%としていた目標をほぼ前倒しで実現するペースです。
ガンジー:倍増ペースというのはかなり大きな変化ですね。武器輸出のルールも変わったって聞いたことがあります。
一休:それも本当や。武器輸出に関しても、これまで5類型に限定されていた制限は撤廃された。こうした変化のペースは、想定していたものよりもはるかに速いとさえ言える状況や。
ベッカー:もう一つの柱であるエネルギー分野についても触れておきましょう。生成AIの急速な普及がガスタービン事業への追い風になっています。生成AIブームによるデータセンター建設ラッシュは、三菱重工株を押し上げる重要材料です。AIデータセンターは大量の電力を必要とするため、高効率ガスタービンへの需要が世界的に拡大しています。三菱重工はガスタービン分野で世界トップ級の技術力を持ち、米国を中心に大型案件への期待が高まっています。
ガンジー:ガスタービンの市場規模についても、会社側から何か発表があったんですか。
一休:あったで。2026年5月には会社側がガスタービン市場規模について70から100GW規模との見通しを示しとる。生産能力増強や供給網再編の報道もあり、市場では「AI時代の電力インフラ本命銘柄」として注目されとるんや。
ベッカー:受注残の水準もあわせて見ておくと安心材料になります。2026年5月発表の決算では、受注高が約7.6兆円、受注残も13兆円超まで積み上がり、市場では中長期成長への期待が高まりました。
ガンジー:13兆円分の仕事がすでに積み上がっているということは、当面の業績の下支えにはなりそうですね。
一休:そういうことや。防衛、エネルギー、航空宇宙という3本柱がそれぞれ違うテーマで買われとるから、どれか一つがコケても他がカバーできる強さがあるっちゅうわけやな。
チャートの形はどう見るか
ベッカー:チャートの形状についても整理しておきましょう。6月10日安値の3,404円をつけたあと、6月18日前後にかけて陽線が連続する場面があり、そこから一旦揉み合いに入りました。その後6月23日前後で急落する局面がありましたが、6月30日以降は再び切り返し、7月に入ってからは陽線が続いています。
一休:移動平均線の並びで見ると分かりやすいで。25日移動平均線と75日移動平均線がともに下向きやったんが、直近の急伸で株価がその上に飛び出した形や。短期的には勢いが強い状態やな。
ガンジー:出来高も直近で急増しているように見えますね。
ベッカー:その通りです。国有民営化報道が出た7月上旬にかけて出来高が急増しており、材料が出たタイミングで多くの投資家が売買に動いたことがうかがえます。ただし、こうした材料株的な急騰のあとは、短期的な利益確定売りが出やすい点には注意が必要です。
一休:実際、3月の上場来高値5,208円から一時3,900円台まで調整した過去もあるからな。今の勢いがそのまま続くとは限らんっちゅうことは、頭の片隅に置いといた方がええな。
まとめ
ガンジー:今日のお話をまとめると、三菱重工業は防衛装備工場の国有民営化report報道や次期戦闘機の共同開発報道といった政策系ニュースで急騰する一方、決算自体も増収増益で受注残も過去最高水準にあるということですね。
ベッカー:はい。防衛予算の拡大、武器輸出ルールの緩和、そしてAI関連のガスタービン需要という複数の追い風が重なっている点が、この銘柄の強さの背景にあります。一方で為替や中国関連リスク、バリュエーションの高さには引き続き注意が必要です。
一休:ニュース一発で乱高下しやすい銘柄やからこそ、決算の中身や受注動向をちゃんと押さえた上で、材料に振り回されすぎんようにするのが大事やな。今日はここまで、また次回や。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
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