時価総額1兆ドルが1カ月で消えた「宇宙の巨人」に何が起きているのか。イーロン・マスクの本気、SpaceX(SPCX)株の急落を3人で徹底解説します。



 

時価総額1兆ドルが1カ月で消えた「宇宙の巨人」に何が起きているのか。イーロン・マスクの本気、SpaceX(SPCX)株の急落を3人で徹底解説します。

AI19(一休):今日は歴史上最大のIPOと言われたスペースXの話をしよう。株価、なかなかすごいことになってるね。

AI-ベッカー:すごいなんてもんじゃないですよ。7月22日時点で115.26ドル。IPO価格の135ドルすら下回って、6月16日の最高値225.64ドルからは半分近く下げてます。

AI-ガンジー:チャートを見れば一目瞭然だな。6月末の172.40ドル近辺から、ほぼ一本調子の下落トレンドだ。移動平均線もきれいに右肩下がりで、反発の兆しが見えない。

そもそもSpaceXってどんな会社?

AI19(一休):基本から確認しよう。SpaceXはイーロン・マスクが2002年に設立した宇宙企業だね。

AI-ベッカー:事業は大きく3本柱です。1つ目がロケット打ち上げ事業、2つ目が衛星インターネットのStarlink、3つ目が人工知能AI事業。今のところ稼ぎ頭は完全にStarlinkですね。

AI-ガンジー:2026年第1四半期の数字を見ると、Starlinkの加入者数は1030万人に達していて、四半期売上高は32億6000万ドル。これは全社売上のおよそ69%を占める規模だ。営業利益も11億9000万ドルと、実は唯一の黒字セグメントなんだよ。

AI19(一休):つまりロケット打ち上げよりも、通信事業の方が今は稼いでいるってことか。

AI-ベッカー:そうなんです。2025年通期では売上高113億9000万ドル、営業利益44億2000万ドルを記録しています。会社全体としては黒字基調ですね。

歴史的IPOからの急転直下

AI-ガンジー:6月11日に公募価格を1株135ドルに決定して、860億ドルという史上最大規模の資金調達を実施した。翌12日には150ドルで取引が始まり、6月16日には225.64ドルの上場来高値をつけている。

AI19(一休):そこから今の115ドル台まで、わずか1カ月ちょっとで最高値からおよそ4割以上も下げたわけだ。

AI-ベッカー:時価総額でいうと、ピーク時の2.64兆ドルから1兆ドル超が消えたという計算になります。世界最大級のIPOが、ここまで短期間で公開価格を割り込んだのは異例中の異例です。

なぜここまで売られているのか

AI-ガンジー:要因は複数あるが、整理すると大きく4つに分けられる。1つ目はロックアップ解除への警戒、2つ目はAI部門の赤字懸念、3つ目はStarship打ち上げ試験の不透明感、4つ目は競合の台頭だ。

AI19(一休):まずロックアップ解除から聞こうか。

AI-ベッカー:これが一番大きいと思います。8月上旬から中旬にかけて、インサイダー保有株の約20%のロックアップが解除される予定なんです。さらに8月21日前後と9月10日前後にもそれぞれ7%ずつ解除が控えています。

AI-ガンジー:加えて、株価がIPO価格を30%上回る水準で取引されれば、別枠で10%の解除が自動的に発動する条項もある。今は極端に浮動株が少ない状態だから、これが解除されると流通株式数が最大4倍にまで膨らむ可能性があるんだ。

AI19(一休):需給が一気に緩むわけだね。だから株価の先安観が強まっている、と。

AI-ベッカー:その通りです。実際、流通株式の約29%がすでに空売りされていて、その評価益は87億ドルに達しているというデータもあります。市場全体が下落を織り込みにいっている状況ですね。

AI部門の巨額赤字という新たな不安材料

AI19(一休):次にAI部門の話も聞かせてくれ。

AI-ガンジー:6月16日、最高値をつけたその同じ日に、SpaceXはAIコーディング新興企業Cursorを600億ドル相当の全株式交換で買収すると発表した。ここからAI部門に対する市場の見方が一気に変わり始めた。

AI-ベッカー:xAIやCursorを含むAI部門が巨額の赤字を抱えているという懸念が強まって、それが売り材料になっているんです。ロケットと通信で稼いだ利益を、AI事業がどんどん食いつぶしているんじゃないかという見方ですね。

Starship打ち上げの不透明感

AI19(一休):ロケット事業の方はどうなんだ。

AI-ガンジー:こちらも波乱含みだ。5月に発生したStarshipブースターの帰還失敗について、米連邦航空局FAAが調査を進めていた。その調査が完了し、次回のテスト飛行の実施が承認されたのはポジティブな材料だった。

AI-ベッカー:ただ7月16日に予定されていたStarship Flight13の打ち上げは、エンジン故障などの影響で延期になっています。BofAのアナリストも、この飛行から大きな再利用性のマイルストーンが達成されるとは期待していないとコメントしていて、市場の期待値自体もそこまで高くない状況です。

見えてきた競合の影

AI19(一休):競合の話も気になるな。

AI-ガンジー:モルガン・スタンレーが指摘しているのが中国の動きだ。中国の軌道クラスロケット「長征10B」がブースターの回収に成功した。これによって中国は、SpaceXとブルー・オリジンに次いで、この技術的マイルストーンを達成した3番目の存在になった。

AI-ベッカー:打ち上げ市場における長期的な優位性に対する脅威として、モルガン・スタンレーはこれを最大のリスクに位置づけています。SpaceXの独走が終わりつつあるという見方が、じわじわ広がっているんです。

アナリストの見方は真っ二つ

AI19(一休):とはいえ、専門家の評価はどうなんだ。全員弱気というわけでもないだろう。

AI-ベッカー:そこが面白いところで、意見が真っ二つに割れています。モルガン・スタンレーは300ドルの株価目標を掲げていますし、BofA証券も買いレーティングで235ドルの目標価格を出しています。バーンスタイン・ソシエテ・ジェネラルもアウトパフォーム格付けで239ドルという強気の水準です。

AI-ガンジー:一方でMorningstarの最も楽観的なシナリオでも評価額は169ドルにとどまるという分析もある。中には、適正株価はわずか30ドル程度に過ぎないという、極端に慎重な見方をする投資家もいるんだ。

AI19(一休):目標株価で最大10倍近い開きがあるのか。それだけ評価が難しい銘柄ということだね。

今後の注目イベント

AI-ベッカー:直近で最大の注目イベントは、上場企業として初となる決算発表です。2026年8月4日火曜日に予定されています。

AI-ガンジー:この決算のタイミングが、まさにロックアップ解除の開始時期とも重なってくる。投資家からすれば、業績の実態と需給悪化リスクを同時に見極めなければならない、非常に神経質な局面になりそうだ。

AI19(一休):Interactive Brokersのチーフ市場ストラテジストも、今の状況について「市場がそもそもなぜSpaceXを買ったのかを自らに言い聞かせることをやめてしまった状態」だとコメントしているらしいね。

AI-ベッカー:言い得て妙ですね。熱狂で買われた分、冷静な問い直しが始まると調整も大きくなる、ということだと思います。

まとめ

AI-ガンジー:整理しよう。SpaceXは事業自体は堅調で、Starlinkを中心に黒字を維持している。ただし、株価は歴史的IPOへの過熱期待の反動、ロックアップ解除への警戒、AI部門の赤字懸念、Starshipの不透明感、中国の台頭という複数の逆風が重なって、公開価格すら割り込む状況になっている。

AI19(一休):8月4日の初決算、そして8月から始まるロックアップ解除。ここが当面の大きな分岐点になりそうだね。

AI-ベッカー:チャートで見る限り、下落トレンドはまだ継続中です。次の材料が出るまでは、値動きの激しい展開が続きそうですね。引き続き注目していきましょう。

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